【BOOK GUIDE】松場登美著『なかよし別居のすすめ』(小学館)

田辺聖子さんのエッセーに『もと夫婦』がある。男と女の関係は一度結婚して別れてお互いの長所も短所も熟知した後で、再びお付き合いする関係が理想的というものだった。

島根県石見銀山の群言堂の松場さん夫妻は、同じ町内で別居している。性格の不一致で別居を始めたわけではなく、お互いの仕事の関係からだが、別れて暮らしてみて甚だ具合がいいことに気が付いた。いびきを気にせず熟睡できるし、何か相談事があれば歩いて数分で再会できる。

長年連れ添った夫婦が、若い時には気にならなかったことが目に付いて、ついには我慢ができなくなり熟年離婚に至るケースはよくある話だが、仲良しのまま、適度な距離を保って暮らすことは『もと夫婦』以上のいい関係かもしれない。松場さんの軽妙なタッチの文章を読んでいるうちに、こちらの心も軽くなっていく。

(『かがり火』発行人・菅原歓一)

松場登美著『なかよし別居のすすめ 定年後をいきいきと過ごす新しい夫婦の暮らし方』(小学館)

※この記事は、地域づくり情報誌『かがり火』196号(2020年12月25日発行)掲載の内容に、若干の修正を加えたものです。

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