【連載 イタリア支局長だより】第4話 イタリアのSNS事情

イタリアで人気が高いFacebook

前回はイタリアの経済事情を語ったが、今回はSNS事情について紹介してみたい。

イタリアではFacebookの人気が高い。私は主に情報収集と娯楽のためにスマホを使っているが、情報収集にはFacebookの他の人の投稿が役に立っている。最近はFacebook離れも見られるが、2023年時点でのユーザー数は2800万人、すなわち全国民の約半分を占める。このところ若者の投稿が減ってきた気もするが、高年齢層は活発に投稿している。

イタリアでは、政治批判でFacebookを利用する人が多い。特に私の義母は熱心で、毎日数件の投稿を行っている。また義母の弟の奥さんも、政治批判の投稿を活発に行っている。両者は政治的に意見が食い違っており、それが原因で口を利かない仲になっている。「親戚なのだから政治的に合わなくても仲良くしようよ」と言いたいが、本人たちはそうもいかないようだ。

若者のコミュニケーション手段はインスタ

一方、若者にはInstagram(インスタ)の人気が高い。先日、友人から会食に招待された時に30代前半の男性と知り合ったが、連絡先として当然のようにインスタのアカウントを教えてきた。彼にとってはFacebookでも電話番号でもなく、インスタが一番のコミュニケーション手段になっているのだ。私はインスタのアカウントを6つ持っているが、どれもほとんど更新していない。ただ最近、地元のお店を紹介するアカウントを開設した。そこでは、アパレルや肉屋、八百屋といった普通のお店をどんどん紹介していきたいと思っている。progetto_negozioというアカウントなので、暇な時に覗いてもらえるとありがたい。

ちなみにイタリアでは、チャット(メッセンジャー)アプリとして「ワッツアップ(WhatsApp)」が完全に主流だ。LINEに登録している友人もいるが、利用者は皆無である。私も日本の友人と連絡を取る時だけLINEを使っている。スマホはiPhone11を使っているが、Xiaomi やOppoを使っている人も多く、私も乗り換えを検討している。イタリアはどの通信会社でも少額でパケット使い放題なので、YouTubeの閲覧に重宝している。

SNSの功罪

SNSについては賛否両論あるが、SNSが普及して人々の交流が深まったのは確かである。特に海外生活者にはSNSが唯一のリアルな情報源なので、すごく重宝する。私はFacebookで海外在住者の会員限定コミュニティに参加しているが、世界中に散らばるメンバーの投稿が癒しになっている。海外に住んでいると抱える悩みも同じだったりするわけで、私にはとても大切なコミュニティだ。そうした繋がりができるのもSNSのおかげである。

ともあれ色々と便利なSNSだが、私の同僚に一人、SNSを全くやっていない女性がいる。うちの息子と同じ小学生くらいの息子がいるその女性は、いつも上機嫌で、幸せに満ち溢れている様子が伝わってくる。私たちは知らず知らずのうちに、バーチャルな世界にエネルギーを吸い取られているのかもしれない。

(イタリア フォリーニョ支局長 ジョー)